育児相談室
おむつ&おしりのお役立ち情報局

第20回 小児科で『水腎症』と言われた。いったいどんな病気?

尿がスムーズに流れず、腎盂に圧力がかかってしまう病気です

通常、腎臓で作られた尿は、腎臓→腎盂<じんう>→尿管→膀胱→尿道(この尿の通り道をすべてまとめて「尿路」といいます)を通って体外へ排出され、この経路を尿が逆流することはないわけですが、何らかの原因で腎盂→腎臓に逆向きの圧力がかかり、腎盂が膨らんでしまう状態を「水腎症」といいます。この「何らかの原因」として多いのは、

(1)尿路のどこかが通常より細くなっていて(狭窄)尿が通りにくくなり、腎盂に溜まってしまう。その結果、溜まった尿の圧力で腎盂が膨らんでくる
(2)または、どこにも狭窄は無いが、尿が激しく逆流する(ほとんどは膀胱→尿管への逆流)ために腎盂に圧力がかかる

の2つだと思います。いずれにしても、通常はどんどん体外へ排出されるべき尿の滞留が起こっていますので、細菌感染による炎症(尿路感染症)や腎盂炎を起こしやすくなります。

自然治癒がほとんど。場合によっては手術治療の可能性も

原因によってフォローの仕方、また治療法も異なりますから、まずは検査によって原因をはっきりさせることが先決です。(1)の尿路の狭窄、(2)の尿路の逆流、いずれも程度が軽ければ自然治癒する例が多いので、感染症に気をつけながら、しばらくは経過を観察することになると思います。程度が重いものや感染症の頻度が高い場合は、腎機能の低下や腎萎縮に至る可能性もありますので、小児外科あるいは小児泌尿器科で手術治療になることもあるでしょう。

石井のぞみ先生(小児科医)

医師だった父の勧めと、子どもが好きという理由から小児科医になる。至誠会第二病院などを経て、2005年4月より愛育病院小児科勤務。5歳の女の子のママ。

製作:ベビカム編集部

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