育児相談室
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第16回 赤ちゃんに多いといわれる腸重積って、どんな病気?

腸が腸の中に入り込み重なり合う病気。腹痛・嘔吐・血便が典型的な症状です

腸重積とは、腸管の一部が腸管の中に筒状に入り込んで、腸が二重・三重に重なってしまい、自然には元に戻らない状態になってしまう病気です。腸が重なってしまうため、飲食物の通過障害や腸の血行障害が起こり、発症から長時間が経過すると、重なり合った部分の腸が腐ってしまいます(腸管壊死)。ポリープや憩室など腸に何らかの病変があり、それが原因で起こる腸重積もありますが、原因がはっきりしないものもたくさんあります。発症前に、風邪のような症状や下痢がみられることがあるので、ウイルス感染による腸管のリンパ組織の肥大が関係しているという説もあります。

生後3ヶ月から2歳くらいまでの子どもに多く、腹痛・嘔吐・血便が典型的な症状です。腹痛は間欠的で、続いている間(数分間)は泣きますが、おさまるといったん元気になり、また数十分して同じ症状を繰り返します。血便はイチゴジャム状のものが出ます。

高圧浣腸による腸管の整復が一般的な治療。症状によっては、開腹手術の場合も

腸重積は、発症してしまったら家庭での治療法はありませんので、疑われた場合は直ちに小児科や救急センターを受診してください。医療機関での治療は、まず高圧浣腸による腸管の整復が行われます。造影剤や空気を肛門から大腸内に注入し、重なった腸管を押し戻す方法です。高圧浣腸で元に戻らない場合や、発症から時間が経って腸管壊死や腹膜炎などが起こっている場合には、外科的な開腹手術が行われます。

腸重積を予防する方法は特にありませんが、数日以内に再発したり、短い期間に何度も繰り返す場合には、原因疾患がないかどうか調べる必要があります。

石井のぞみ先生(小児科医)

医師だった父の勧めと、子どもが好きという理由から小児科医になる。至誠会第二病院などを経て、2005年4月より愛育病院小児科勤務。5歳の女の子のママ。

製作:ベビカム編集部

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