育児相談室
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第9回 病院で赤ちゃんが「尿路感染症」と言われた。いったいどんな病気?

男の子はなりにくい病気。大腸菌が原因となることが多く、発熱するのが特徴

尿は腎臓で作られ、腎盂→尿管→膀胱→尿道という経路を通って、体外へ排出されていますが、この経路のことを「尿路」と呼び、その尿路に起こる感染症を尿路感染症といいます。

尿路感染症の原因は、(1)肛門周囲や外陰部など外部から細菌が入り込んで起こるものと、(2)膀胱から尿管へ尿が逆流する(膀胱尿管逆流現象)ために起こるものに大別されます。ただし(1)は、外からの侵入距離を考えても腎盂など上部までいたることは少なく、ほとんどは膀胱炎・尿道炎にとどまります。また構造的に尿道が長い男の子には起こりにくいといわれています。原因となる菌の大半は、大腸菌です。

膀胱炎・尿道炎で発熱することはまれですから(大きい子どもでは頻尿や残尿感、排尿時痛などを訴えます)、「赤ちゃんで高熱の出る尿路感染症」となると、腎盂以上の上部尿路の感染の場合が多いです。肉眼でわかるほどの血尿や膿尿(尿に膿が混じること)が出るケースは少ないので、多くは熱のみが症状になります。尿検査では、血液や白血球が尿に混ざっていることが顕微鏡で発見できます。

膀胱から尿管への逆流というケースも多い。その場合は、抗生物質で治療

上で述べているように、腎盂以上の上部尿路の感染は、外部からの感染よりも膀胱から尿管への尿の逆流が原因のことが多く、逆流の原因や程度を調べるため、感染症状が治ってから検査をする場合があります。特に、(1)外部からの細菌侵入による尿路感染症が少ない男児では、(2)逆流が原因である頻度が高いため、検査が必要になることが多いです。女の子でも、繰り返し尿路感染を起こす場合は、(2)逆流の可能性も念頭においた方がよいでしょう。

治療としては、まず抗生物質投与です。全身状態や検査データなどを総合的に判断し、感染が重症であれば、内服では無く静脈注射を行います(特に上部尿路感染では)。最終的に(2)逆流があることが判明すると、抗生物質の持続内服を行い、感染を防止する場合もあります。

石井のぞみ先生(小児科医)

医師だった父の勧めと、子どもが好きという理由から小児科医になる。至誠会第二病院などを経て、2005年4月より愛育病院小児科勤務。5歳の女の子のママ。

製作:ベビカム編集部

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